「いらない」と思った瞬間から、ヘビロテが始まっている

付録を手に取るとき、人はだいたい0.5秒で「使う/使わない」を判断する。色、サイズ、素材、なんとなくの雰囲気。その判断が、けっこうな確率で外れる。

思い当たる節がある人、多いんじゃないかと思う。「絶対使う!」と確信した付録がいつのまにか引き出しの奥に消え、「これどうすんだ」と半笑いで受け取ったものが気づけばクタクタになるまで使い込まれている。あの逆転現象、いったい何なんだろう。

受け取った瞬間

「絶対使わない」確信

色が微妙、サイズが謎、デザインに思い入れなし。即座に「引き出し行き」を決める。

半年後

気づけばボロボロになるまで使ってる

「とりあえず試しに」から始まった使用が、いつしか「これじゃないとダメ」になっている。

私が思うに、これは「期待値ゼロからのスタート」がポイントだ。気に入って買ったものには勝手に高い期待をかけてしまう。付録がその期待に応えられなかった瞬間に、もう使わなくなる。でも「どうせ使わない」と思っていたものは、ちょっとでも使えたら即座にプラスに転じる。ハードルが地面スレスレだから、なんでも超えてしまう。

私がヘビロテしている「最初いらないと思った」付録たち

せっかくなので、実際に逆転したやつを思い出してみる。記憶の中からベスト3を引っ張り出した。

01

くすみオレンジのミニポーチ(ファッション誌付録)

「この色、誰が使うんだ」と思った。でも試しにイヤホンと充電ケーブルを入れてみたら、バッグの中で行方不明になりがちな小物が一発で見つかるようになった。今では絶対手放せない。色も慣れたら「逆にいいじゃん」になった。人間の目って適応するんだなと思った。

02

謎にでかいエコバッグ(生活情報誌付録)

折りたたんでもA4サイズくらいある、微妙に大きいエコバッグ。「こんなの持ち歩けるか」と思った。でもスーパーの買い物袋として使い始めたら、大きいがゆえに何でも入って最高だった。今は玄関の引っ掛けフックに常駐している。

03

ロゴがでかすぎるトート(ブランドムック付録)

ブランドロゴがド正面にバーンと入っていて「これ持って歩くの恥ずかしくない?」と思った。が、荷物多い日のサブバッグとして使い始めたら、丈夫すぎてやめられなくなった。ロゴについてはもう慣れた。むしろ主張が強くていいかもしれない、という謎の境地に達した。

「使わないだろ」付録が化けるタイミングは、だいたい「試しに」から

共通しているのは、「まあ試しに一回だけ」という気軽さで使い始めた点だ。大事に使おうとか、せっかくだから活かさないとか、そういうプレッシャーが一切ない。だから使い方が自由になる。

📦 実録・逆転の瞬間

「試しに入れてみるか」の15分後

くすみオレンジのポーチをバッグに入れた日。特に用途も決めずに、とりあえず細々したものを詰め込んでみた。会議中にイヤホンを探したとき、バッグの中をごそごそしなくてよかった。たったそれだけで、「これ、ありかも」に変わった。あの15分が運命の分かれ目だった。

使い道が決まっていない付録は、生活の「隙間」に入り込む。決まった用途で買ったものは、その用途でしか使えない。でも「なんとなく」持ち歩いているものは、なんとなく便利な場面を自分で見つけてくる。

期待されていない付録ほど、自由に生きられる。だから気づいたときにはヘビロテになっている。

「絶対使う」付録はなぜ使われなくなるのか

逆の話もしたい。「これは絶対ヘビロテする」と確信して受け取った付録が、いつのまにか棚の肥やしになっているケース。これも同じくらいある。

たぶん、期待が先に立ちすぎるんだと思う。「完璧な使い方」を探しているうちに、「とりあえず使う」タイミングを逃してしまう。気に入っているから逆に「もったいない」が生まれて、大事にしすぎて使えなくなる。付録に限らずある話ではあるけど、付録はとくにこれが起きやすい気がする。

だから「これどうしよう」と思った付録の方が、雑に使えて、雑に使っているうちにフィットしてくる。雑にしか使えないものが、ちゃんとした道具になっていく。なんか、それって人間関係みたいだなと思いかけたけど、それは大げさだからやめておく。

だから今日も、「これは使わないだろうな」と思いながら受け取る

最近は付録を受け取るとき、「絶対使わないだろ」と思っても、すぐに断定しないようにしている。どこかに引っ掛ける。引き出しの手前に置く。とりあえず目に入る場所に放っておく。

そうしているとある日、「これ入れてみるか」と手が伸びる瞬間がくる。そこからが始まりで、そこから先はもう止まらない。

今日も書店で付録を受け取って、「これはないな」と思った。でも家に帰ったらとりあえずバッグに入れてみようと思う。たぶん3ヶ月後に、また同じことを書いている気がする。